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執筆者の写真Masaya Onishi

Travel in Mali 2008 その3



翌朝早く目が覚める。アブドゥの仕事に同行することに。

アブドゥの仲間たちと共にトラックに乗り込み、行き先もわからず走り出す。

ファトゥマ村はフラニの人々が多く住む村だが、アブドゥの母さんはモロッコ出身のアラブ、父はトゥンブクトゥ出身のソンガイだそうだ。


荒野の一本道をアブドゥの運転するトラックはひた走り、いくつかの村々を過ぎていく。途中から道をはずれ、ブッシュの中の道なき道を走り続ける。別の道に入り、川を渡り、また道をはずれてさらにブッシュの奥へ奥へと進んでいく。


いくつかの小さな集落を通り過ぎ、だだっ広い砂漠のような荒野の真ん中で、突然トラックが止まった。


「着いたよ。」とトラックのエンジンを切り、笑いながら言うアブドゥ。


車から降り、あたりをぐるりと見渡すと、遠くの方にポツリポツリと集落が見える。

アブドゥたちはトラックのタイヤの様子を見たり、ござを敷いてくつろいだりしている。



こんな辺ぴなところで、いったい何が始まるのかなとしばらく待っていると、遠く四方八方からわらわらと人々が集まり始めた。皆それぞれ、ヤギや羊や荷物などを抱えている。男たちは独特な傘のような帽子をかぶり、紫や青や緑や黄色の色鮮やかな装いを身にまとっている。お洒落でかっこいい。好奇心旺盛な子供たちも集まってくる。


どうやらこの日は週に一度のファトゥマ村のマーケットの日。遠く離れた村から、ヤギや羊を売りに行く人々を乗せるためにここまで来たようだ。このあたりはフルベという村らしい。

フルベに住む人々は牛やヤギや羊を沢山狩っているようだ。放牧をしながら移動生活しているのだろうか。







アブドゥたちがヤギや羊の足を縛ってトラックの屋根に積み始めた。子供たちが近づいてくる。写真を撮ってくれと言うので、何枚かシャッターを押し、子供たちに見せる。液晶に移った自分たちを見て大喜び。それを見ていたほかの子たちも集まってきて撮ってくれとせがむ。

きりがないのでケニアで覚えた指笛を吹いてみせる。いっせいに真似して吹いてみようとする子供たち。が、なかなか音がでない。そこで、手を丸く筒状に丸めて口に当て、開いたり閉じたりしながら豚の鳴き声のような音を出してみた。どっと笑い出す子供たち。これなら割と簡単に音が出る。皆真似して、そこらじゅうで豚の鳴き声がなり始める。

大人たちが遠巻きに笑っている。




荷物が積み終ったので、子供たちに手を振り出発。荷台や屋根に、ヤギや羊や人や荷物を満載したアブドゥのトラックは、道なき道をガタゴトと走っていく。途中いくつかの集落で、さらに人と荷物を載せ、やがてトラックはマーケットに到着した。


ファトゥマ村のマーケット



マーケットは大勢の人々で賑わっている。混沌としているようでいて、ひょうたんはひょうたん、衣類は衣類、米は米、マンゴーはマンゴーとそれぞれ品物別に区分けされているようだ。フルベから来た人々はほとんどがヤギ羊コーナーに消えていった。

マーケットの屋台で魚のスープをかけたぶっ掛けご飯を食べる。なかなかうまい!



ローカルじゃ英語は通じない。俺フランス語わからない。せっかくマーケットにいるんだから、何か買いたい。バンバラ語!

丁度アブドゥの兄ダラマンが、自分の車でくつろいでいた。彼も別の村から人々や荷物を積んできたのだろう。

お茶を飲みながらダラマンのバンバラ授業、お金の数え方。これがちょっとややこしい。


一番小さいコインが5フランだが、これを1とする。(ドロメ)

10フランが2(ドロメフィラ)、15フランが3(ドロメサバ)、20フランが4(ドロメナニ)、という具合に数えていくと、50フランが10、バンバラでタンという。

バマコにいるときシエラレオーネのモハメッドに数の数え方は教わったが、お金の数え方が理解できなかった。ここに来て、なるほどこういうことだったのかと納得。


ダラマンは親切に、自分のコインを一つずつ、つまみ上げながら教えてくれる。とても分かりやすい。

100フランがムガ、150がビサバ、200がビナニ。

500フランはケメだが、ケメは100と言う意味。5を1として、5x100=500なのだ。

ややこしいが繰り返し繰り返し覚えるしかない。

1000フラン、1500フラン、2000フランと続いていく。

要するに3フランや62フランや99フランはないのだ。すべて5進法で数えていく。


教えるのが楽しそうなダラマンの授業は、5000フラン、5500フラン、6000フランと延々と続く。何度もお茶を飲みながら。そしてやっと55000フランまで数えることが出来たとき、ダラマンは150フランの小遣いをくれた。




そのコインをポケットに入れ、マーケットを歩く。複雑に入り組んだ路地から路地へ、ありとあらゆる雑多なものがところ狭しとならぶ。中には足踏みミシンをふみながら何か縫い物をしている人々も。


「マンゴロマンゴロエー!ティバブー!ボンソワー?」

山積になったマンゴーの前で、少女がマンゴーを売っている。

「イニチェー。マンゴロジョリジョリ?」(こんにちは。マンゴーお幾ら?)

「タンタン、タンドゥルタンドゥル、ムガムガ。」と3つに分かれたマンゴーの山をそれぞれ指差して言う。

真ん中の山から、程よく熟れたマンゴーを一つ選んで見せる。

「タンドゥル!」

タンドゥルはえーと75フランか、と考えながらポケットからコインを出して渡した。

「イニチェー!」(ありがとう!)

その後頭が痛いといっていたアブドゥに頭痛薬を買っていく。これもタンドゥル。

アブドゥにナイフを借りてマンゴーを食べる。ケニアのアップルマンゴーに似て、大振りで筋が無く、甘くておいしい。


日も傾きかけて、そろそろ帰っていく人も目立ち始めた。

フルベ村の人達もだんだんとアブドゥのトラックに集まってくる。連れてきたヤギや羊は、米や砂糖に変わり、トラックの屋根や荷台につまれていく。隣のトラックは屋根にまで人が乗り、自転車がぶら下がっている。

荷物を積み終え、出発、朝来た道を帰っていく。助手席の隣に座っている爺さんは疲れ果てて眠っている。皆それぞれの集落でトラックを降りていく。

フルベに着くと太陽はすっかり傾き、空をオレンジ色に染めていた。子供たちが大人たちを出迎え、皆それぞれの荷物を担いで家に帰っていく。





再びファトゥマ村のアブドゥの家に帰りついた頃には、あたりはすっかり暗くなっていていた。



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